1.
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本ガイドラインについて
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新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年5月4日)においては、「今後、感染拡大の予防と社会経済活動の両立を図っていくに当たっては、特に事業者において提供するサービスの場面ごとに具体的な感染予防を検討し、実践することが必要になる。社会にはさまざまな業種等が存在し、感染リスクはそれぞれ異なることから、業界団体等が主体となり、また、同業種だけでなく他業種の好事例等の共有なども含め業種ごとに感染拡大を予防するガイドライン等を作成し、業界をあげてこれを普及し、現場において、試行錯誤をしながら、また創意工夫をしながら実践していただくことを強く求めたい。」とされたところである。
これを受け、同専門家会議の提言の中にある「各業種のガイドライン等の作成に当たって求められる基本的な考え方や留意点の例」等に留意しながら、当面の対策をとりまとめたところである。
なお、新型コロナウイルスの最新の知見や今後の各地域の感染状況等を踏まえて、本ガイドラインは随時見直すこととする。
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2.
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感染防止のための基本的な考え方
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施設管理者は、施設の規模や提供するサービスの形態を十分に踏まえ、施設内及びその周辺地域において、当該施設の従業員のほか、顧客への新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、最大限の対策を講ずるものとする。
特に、①密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、②密集場所(多くの人が密集している)、③密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)という3つの条件(いわゆる「三つの密」)のある場では、感染を拡大させるリスクが高いと考えられ、本ガイドラインは、これを避けるとともに、従来から実施している施設の清掃・洗浄や、こまめな手洗い、従業員の健康管理等の一般衛生管理を徹底することで、自己への感染を回避するとともに、他人に感染させないように徹底することを旨とする。なお、ワクチン接種を受けないことによる差別や不当な対応をしないよう留意する。
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3.
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施設管理者が講ずべき具体的な対策
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(1)
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リスク評価
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施設管理者はデルタ株等の変異株の拡大も踏まえ、新型コロナウイルス感染症の主な感染経路である接触感染(①)と飛沫感染(②)のそれぞれについて、従業員や来店客等の動線や接触等を考慮したリスク評価を行い、そのリスクに応じた対策を検討する。
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①
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接触感染のリスク評価
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他者と共有する物品やドアノブなど手が触れる場所を特定し、これらへの接触の頻度を評価する。高頻度接触部位(冷凍庫の扉、運搬車のドアやハンドル、ドアノブ、手すり、椅子、電気のスイッチ、トイレ、蛇口、洗面台等)には特に注意する。
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②
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飛沫感染のリスク評価
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施設における換気の状況を考慮しつつ、人と人との距離がどの程度維持できるか、施設内で大声などを出す場所がどこにあるか等を評価する。
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(2)
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施設内の各所における対応策
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①
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留意すべき基本原則と各エリア・場面の共通事項
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人との接触を避け、対人距離を確保する。(1m以上確保するように努める)
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感染防止のため可能な限り従業員や来店客の整理を行う。(密にならないように対応。発熱又はその他の感冒様症状を呈している者の入店制限を含む。)
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入口及び施設内のアルコール擦式等の手指消毒薬の設置、もしくは石鹸と流水による手洗いを励行する。
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デルタ株等の変異株の拡大を踏まえ、正しいマスクの着用(従業員及び来店客に対する周知)。マスクを持参していない顧客へは、マスクを配付もしくは販売するとともに咳エチケットを励行する。
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十分なマスク着用の効果を得るためには隙間ができないようにすることが重要であり、感染リスクに応じた、適切なマスクの着用を行う(品質の確かな、できれば不織布を着用)。正しいマスクの着用法について、例えば厚生労働省HP「国民の皆さまへ(新型コロナウイルス感染症)」参照。
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デルタ株等の変異株の拡大を踏まえ、大声を出さないように施設内で掲示等を行うなど、啓発徹底を行う。職場の室内等でマスクを着用している場合であっても、会話を短く切り上げる等の対応が望ましい旨を周知する。・ 施設の換気について、厚生労働省作成「「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法」を参考に取り組む。適切な空調設備を活用した常時換気又はこまめな換気(1時間2回以上、1回に5分間以上)を徹底する。
また、換気に加えて、CO2測定装置の設置と常時モニター(1000ppm以下)の活用を検討する。(※機械換気の場合。窓開け換気の場合は目安。)なお、CO2測定装置を設置する場合は、室内の複数箇所で測定し、特に換気が不十分となりやすい場所に設置する。
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HEPAフィルタ式空気清浄機やサーキュレーターの補助的活用も可とする。
(参考)
「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000618969.pdf
冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法
https://www.mhlw.go.jp/content/000698868.pdf
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施設の定期的な清掃。
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高頻度接触部位の定期的な消毒。
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従業員が共通して使用する物品や頻回に触れる箇所を工夫して最低限にする。
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人と人が対面する店頭等は、アクリル板
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透明ビニールカーテンによる遮蔽などの工夫をする。アクリル板・透明ビニールカーテン等を設置した場合は定期的に清掃消毒をする。
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接触確認アプリ(COCOA)のダウンロード推奨や各店舗等における各地域通知サービスの登録を行うこととし、その旨を事前に来場者等に周知する。
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新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)、もしくは、各地域の通知サービスの活用を促すため、QRコードを店内に掲示し、QRコードの読取を奨励する。また、COCOAを入れている場合は、電源をonにした上で、Bluetoothを有効にしてもらうよう案内をする。
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②
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症状のある者の制限
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新型コロナウイルスに関しては、発症していない人からの感染もあると考えられるが、事前の検温又は現地での検温を行い、発熱の有無の確認を行うよう努めるほか、発熱や軽度であっても咳・咽頭痛などの症状がある人は入店しないように呼びかけることは、施設内などにおける感染対策としては最も優先すべき対策である。また、状況によっては、発熱者を体温計などで特定し入店を制限することも考えられる。
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③
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トイレ(※感染リスクが比較的高いと考えられるため留意する。)
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便器内は、通常の清掃で良い。
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不特定多数が接触する場所は、定期的に清掃消毒を行う。
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トイレの蓋を閉めて汚物を流すよう表示する。
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使用後は確実に石鹸と流水による手洗いをするよう表示する。
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ペーパータオルを設置する。
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ハンドドライヤーは止め、タオルの共有は禁止する。
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④
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事務所
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1時間に2回(5分間以上)を目安として適切に換気する。
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事業の実態に応じ、可能な限りテレワーク勤務、ローテーション勤務など様々な勤務形態を推奨し、通勤頻度を減らし公共交通機関の混雑緩和を図る。
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飛沫感染防止のため、座席配置は対面にならないよう工夫する。必要に応じて仕切りを設ける。
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共有する物品(筆記用具、机、いす、コピー機等)は、定期的に清掃消毒する。
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入退室の前後に手指消毒又は石鹸と流水による手洗いをするよう促す。
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配送員は店舗従業員と同様の健康管理、手洗い等の衛生管理を実践し、マスクを適切に着用する。
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⑤
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販売店舗
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店舗内が密にならないよう入店人数を調整するなど工夫する。
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対面での会話を控えるよう来店客に注意を促す。
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注文はICT(Information and Communication Technology)の活用や注文書等、対面での会話や入店時間・人数を減らす対応も可能か検討する。
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正しいマスクの着用やアルコール消毒の協力をお願いする。(従業員は来店客に応じた配慮をする。)
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会計処理では、可能であれば、電子マネー等の非接触型決済を導入する。現金の受渡しが発生する場合は、手渡しで受け取らず、コイントレイ(キャッシュトレイ)などを使用する。コイントレイは定期的に消毒する、会計の都度手指を消毒するなど工夫する。
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1時間に2回(5分間以上)を目安として適切に換気する。
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⑥
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作業場・加工場・倉庫等
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従業員はマスクや手袋を適切に着用し、これらを脱いだ後は手指消毒又は石鹸と流水による手洗いを行う。
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⑦
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従業員の休憩スペース(※感染リスクが比較的高いと考えられるため留意する。)
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一度に休憩する人数を減らし、対面で飲食や会話をしないようにする。
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室内の換気に努める。
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共有する物品(テーブル、いす等)は、定期的に清掃消毒する。
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従業員が出入りする際は、入退室の前後に手指消毒又は石鹸と流水による手洗いをする。
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施設内共用部(出入口、トイレ、手すり、調味料等、ウイルスが付着した可能性のある場所)の定期的かつこまめな消毒を徹底する。
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⑧
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ゴミの廃棄
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使用済みマスクや、鼻水、唾液などが付いたゴミは、ビニール袋に入れて密閉して縛る。
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ゴミを回収する従業員は、マスクや手袋を着用する。
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マスクや手袋を脱いだ後は、必ず手指消毒又は石鹸と流水による手洗いをする。
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⑨
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清掃・消毒
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従来から実施している清掃・消毒を徹底する。
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複数の人の手が触れる場所を適宜清掃消毒する。
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⑩
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その他
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高齢者や持病のある方については、感染した場合の重症化リスクが高いことから、より慎重で徹底した対応を検討する。
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地域の生活圏において、地域での感染拡大の可能性が報告された場合の対応について検討をしておく。感染拡大リスクが残る場合には、対応を強化することが必要となる可能性がある。
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(3)
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従業員の感染管理
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手指消毒又は石鹸と流水による手洗いの徹底を図る。
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正しいマスクの着用(品質の確かな、できれば不織布)や咳エチケットの周知を行う。
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必要に応じて、目の粘膜からの感染を防止するための目を覆うことができる物(フェイスガード、ゴーグル等)を着用する。
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時差出勤、自転車通勤の活用を図る。
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ユニフォームや衣服はこまめに洗濯する。
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出勤前の体温測定を従業員に求める。
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従業員は風邪症状や発熱があれば管理者等に必ず報告し、管理者等は従業員に出勤しないことを求める。
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普段から、毎日の健康状態を把握する。
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寮などで集団生活を行っている場合、従業員同士の距離が近いなど密になりやすい環境、一般的な感染防止措置を行うことが困難な場合などには、定期的なPCR検査の活用を検討する。
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体調が悪い場合には出勤せず、自宅療養する社内ルールを徹底する。
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必要に応じて、健康観察アプリのインストール・活用や抗原簡易キットの使用など検査の更なる活用・徹底を検討する。
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従業員は新型コロナウイルス感染症と診断された場合や、新型コロナウイルス感染症の陽性と判明した者と濃厚接触がある場合、過去14日以内に政府から入国制限、入国後の観察期間が必要とされている国・地域等への渡航並びに当該国・地域の在住者との濃厚接触のある場合、その他感染の疑いが強い場合、保健所から自宅待機等の措置を要請された場合は、自宅待機とする。また、速やかに管理者等にその旨を報告することを周知徹底する。
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これらの報告を受ける担当者及び情報を取り扱う範囲を定め、従業員に周知を行う。
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新型コロナウイルス感染症についての相談目安及び「保健所」、「受診・相談センター」の連絡先を従業員に周知を行う。
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ワクチン接種については、厚生労働省HPの「新型コロナワクチンについて」等を参照する。
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ウイルス検査・受診については、適切に産業医、契約医療機関、受診・相談センター等の相談・案内等を行う。
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事業の実態に応じ、可能な限りテレワーク勤務、ローテーション勤務など様々な勤務形態を推奨し、通勤頻度を減らし公共交通機関の混雑緩和を図る。
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(4)
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配達中の感染防止対策
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正しいマスクの着用を徹底する。
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商品や納品書の受渡しの際には、相手先との直接接触を減らすよう努める。
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配達中に発熱や体調不良を認めた時は、配達業務を中止させる。
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車内でも正しいマスクの常時着用、大声や長時間の会話を控えること、換気徹底、可能な限り対人距離の確保等をはじめとする感染対策に留意する。
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(5)
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衛生用品の在庫管理
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マスクやアルコール消毒液等、感染防止対策に必要となる衛生用品が、在庫切れにならないよう計画的な発注に努める。
(チェックリストでの確認の実施)
- 上記の感染防止対策は、チェックリストを作成するなどして施設管理者ならびに従業員が確認し、対策が不十分な点があれば改善するように努める。また、定期的に確認する必要があるものは、別途抜き出してチェックリストを作成するなど工夫する。
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